著 書

火災・盗難保険金は出ないのがフツー
(幻冬舎新書)(2019年刊)

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本書概要

火災保険や盗難保険に入っていれば、事故の際、保険金は当然出ると思われている。
しかし、現実には家が全焼しても、高級品が盗まれても、保険金は出ない。
それは、保険金の支出が損保にとって「損失(ロス)」でしかないからだ。
あの手この手で支払いを渋り、救済されるはずの被害者を苦しめる損保。
彼らの狡猾な手口を暴き、どうすれば保険金を正当に引き出せるか、実際の裁判をもとに徹底的に解説する。

目次

第一章 失火を放火とされる火災事故

石油ファンヒーターから出火/額や足裏に火傷を負い、救急車で搬送/現金も預金通帳もみんな焼けた/出火原因は何か/消防署の鑑定では失火/警察の捜査でもシロ/保険会社の事故報告/損保の回答は支払い不能/調査結果の不開示により被害者を泣き寝入りさせる/ジョン・グリシャム『ザ・レインメーカー』にでてくる話/偶然性の立証責任/訴訟への勝算/弁護士を執事のようにこき使う/焼残物から灯油が検出された/再現実験でも、偶然には引火しない/井上靖『氷壁』の題材となったナイロンザイル事件での実験/故意の立証責任/元科捜研の火災専門家の協力を仰ぐ/スコット・トゥロ―『推定無罪』での証拠物/さらなる反論/意見書合戦/動機の不存在と火傷の部位/現金まで焼失したのは放火でない証拠/原告本人尋問から判決へ/往生際が悪い!/仮執行をくい止めてまで控訴してくるやり口/高裁判決/遅延損害金という利息/こうなったら、紙代まで請求

第二章 台風被害を地震災害にすりかえる風災事故

台風で、別荘の門と納屋が倒壊/保険代理店は、契約前に対象物件が立っていたことを確認済/おまえたちは、結託して保険金詐欺を企んだ/東日本大震災の地震で倒れていた/提訴後のT損保による猛反撃/台風で倒れたことの立証責任/争点は、倒壊した原因が台風か地震か/母屋の屋根工事の写真に、数寄屋門と納屋が映っている/サツキとシロツメグサが動かぬ物証/台風襲来時の被害状況のニュース報道と風力データを提出/それ以前の台風の、もっと強い風速でも倒れなかった/最大瞬間風速と最大風速の違い/別荘の地形を見える化するため、ナレーション入りの映像を撮る/学術的な研究報告書や論文を提出 /T損保は一級建築士の「意見書」で反論/風工学の専門家に意見書の作成を依頼/T損保側「技術士意見書」の誤りを指摘/さながら、第三次川中島の戦いの様相を呈す/免責事由の立証責任/正面突破が無理だと知ると、背後からの奇襲戦法にでる/母屋屋根工事のとき行った門の補修工事/間接証拠としての不払い記事/弁論準備手続から証人尋問へ/原告側証人に裁判外で接触を試みた調査員/お得意様損保のためなら、平気で偽証する調査員/和解勧告/保険金としてではなく、解決金としての支払いを/終結後に損保が謝罪

第三章 監視カメラの映像が残っていても払わない盗難事故

第一部 商品の盗難
夜明け前の盗難/セキュリティ契約の締結/盗難保険を二層につける/S損保は払うそぶりを豹変/法律事務所を渡り歩いて、どこでも断られる/訴状の構成――AかBか二者択一/盗難の事実の立証責任/セキュリティ会社S社の責任逃れ/内部に賊を手引きした者がいる/「実験」でも、玄関ドアは破壊できなかった/盗難の直前に、被害品を他店舗から移動しているのは不自然だ/盗まれた商品が一部にとどまっているのは不自然だ/盗犯専門の元刑事の協力を仰ぐ/「ヒット&アウェイ」方式/プロファイリングと品触れ/原告は十分な防犯対策をとっていなかったというこじつけ/シャンデリアの設置位置にまで難癖/賊はエルメスのバッグを何個盗んだか/時計がガラスの破片で損傷するとは考えがたい/中古ブランド品の修理費の鑑定に、美術品鑑定業者を連れてきた/エリート社員がT損保を訴えた記事/修理見積書をフランスから取り寄せる/毀損品の現物検証/従業員のタイムカードの提出まで要求/売値か仕入値か/S損保は調査費用まで請求/一審判決の行方/訴訟は第二ラウンドへ

第二部 車の盗難
駐車場やガレージに停めておいた車が盗まれた/盗難、損傷の外形的事実の立証が大きな壁/車両保険での損保の戦略/映像さえ残っていれば、車両保険金は払われるか/保険金が出ないことがわかっている車両保険

プロローグ

 保険金というものは、いざというとき出るものだと大多数の人が思っています。テレビのCMでは、「まさかのために入って安心」を謳い文句に、損保は、保険への加入を大々的に宣伝しています。しかし、その「まさか」が現実に起きたとき、保険金は出ないのです。
 それはなぜか。答えは単純です。保険会社が金をだしたくないからです。数万円程度の少額なら、比較的すんなり支払っても、一〇〇〇万円を超える多額の保険金となりますと、さまざまな屁理屈をくり出して、支払いをとめるのが、損保の常套手段なのです。
 「出ると思っていた保険金がまったく出ない」という現実に直面した被害者は、ある人は怒り心頭に発し、ある人はおろおろし、一体これからどうしたらいいのか困惑するというのが実情です。本当に訴訟にしても勝てないのか?勝つためにはどのような戦略をとればよいのか?様々な疑問にさいなまれ、暗中模索の状態に陥ります。
 このような切実な悩みを、電話や面談で、私はたびたび聞かされてきました。そうした声にきちんとおこたえするためには、損保と闘う訴訟戦術を具体的なケースに則してお話しするのが、読者の理解を得やすいだろうと考えた次第です。
 この本に登場する保険事故のケースは、私自身が実際に東京地裁、高裁で扱った事案です。お客様である依頼人の方々とともに、私やパラリーガルが総力をあげて対策を練り、知力を結集して闘った記録をもとに、保険金不払いの実情をお伝えしていきたいと思います。

エピローグ

 はじめに不払いありき。 これが損保の、共通したスタンスです。  本書に登場したA損保やT損保だけが悪辣なのではなく、他の損保、共済も、本書で紹介したケースと同様に、不払いで被害者を苦しめ、泣かせているというのが、実情です。
 「藪をつついて蛇を出す」という格言がありますが、激しいクレームを損保にあびせますと、損保はすぐ弁護士をつけてきます。損保側に弁護士がつきますと、彼らは損保の利益を守ろうとして、さまざまな難癖をつけて争ってきます。つまり、損保側の弁護士は、不払いに加担する結果、火に油を注ぐのです。そのため、保険金請求訴訟は、紛糾をきわめ、依頼人には、費用を負担する経済力のほか、長期戦になっても屈しない精神力、体力が必要になります。
 被害者の中には、「自分も弁護士をたて、弁護士どうしで話し合ってもらえば、円満に解決できるのではないか」とおっしゃる方がいます。これは性善説にたつ甘い幻想です。損保がいったん「不払い」と決めたものは、訴訟以外の場で円満な解決など、望むべくもありません。本書でも述べてきたとおり、損保側弁護士は、被害者が思うよりはるかに悪辣で、常識を逸脱した主張を押し通そうとすることがままあるのです。
 読者のみなさんには、こうした事情を頭に入れて、それでもなお不当な不払いには屈せず、損保に戦いを挑んでいただくことを願ってやみません。
 損保は、あなたの泣き寝入りを待っているのですから。

2019年1月 加茂隆康

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